酒井一吉は、祖父母が被爆者であるという出自から「ナガサキ/NAGASAKI」を見つめ、これまでに、被爆で倒壊した教会を題材とした「浦上天主堂再現プロジェクト」や《平和祈念像》に扮したパフォーマンスなどを通して、「ナガサキ」への問いを投げかけてきました。
本展で酒井が発表する作品は、長崎市の《平和祈念像》に見られる「手」の造形を起点としながら、「語り」をめぐる制度や身体性について光を当てるものです。
彫刻が「手」で語るものは何か。
また聴覚や視覚に障害をもつ人の被爆体験について、手話の「手」、点字という「手で認識する言語」をモチーフに、“語るべき人の語られなかった証言”についても取り上げます。
戦後80年、戦争体験者による直接の「語り」が不可能になりつつある現実を前に、
しばしば未来への継承が議論に上っています。
語る主体の不在を危ぶむ声は小さくありませんが、酒井の「語り」に対するまなざしは、静かな彫刻の「手」、制度の中にある「語り」の在り様をとらえ、さらには多くの必然の「沈黙」があることを浮き彫りにするでしょう。
幽語(ゆうご)―幽かに語る・語られる声―。
その声を、私たちは聞き取ることができるのでしょうか。
《After the Image, Before the Word-Memorial statue》(部分)2025年
=作家プロフィール=
酒井 一吉 Kazuyoshi Sakai
1985年 長崎出身
2008年 東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻領域 卒業
〈主な展覧会〉
2024年 「KOGANECHO NOW」高架下スタジオ Site-A ギャラリー
2024年 「UrbanNesting:再び都市に棲む」(BankART Life7)BankART Station
2024年 「hallucination」伊勢佐木町センタービル
2023年 「空洞と重なり」LOOP HOLE
2022年 「志田塗装 虚実の皮膜」AZUMATEI PROJECT
2021年 「横浜 あの街を歩く-「草枕」のように、手書きの地図で」東京ベイガード ベネチア号
2021年 「現れの場」AZUMATEI PROJECT、横浜
2015年 「浦上天主堂再現プロジェクト」浦上天主堂、長崎
【開館時間】 10:00~20:00
【休館日】 火曜日 *9月23日(火・祝)は開館し、24日(水)は休館
【観覧料】 無料
問合せ先:熊本市現代美術館 TEL 096-278-7500
詳細は・・チラシデータ(熊本市現代美術館Webサイト)へ
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*料金、時間、休館日等は、変更の場合があります。必ず確認の上、お出かけください。
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