ふくおかサポートねっと

福岡の美術館・博物館での 展覧会・イベント

見る 福岡市博物館『黒田長政没後400年 黒田侯爵家の名品 知られざる黒田家「家宝」の近代史

2023年9月15日(金)~11月5日(日)
福岡県/福岡市(早良区)/福岡市博物館 特別展示室
黒田長政没後400年 黒田侯爵家の名品

旧福岡藩主、 黒田家の貴重なコレクションは、現在福岡市が所蔵するものだけでなく、より多数の古美術品を含むものでした。

これらは江戸時代に収集されたものを基本として、明治時代から昭和時代戦後に至る間に新たに 「家宝」 として整理され、その後、一部は売却 ・ 譲渡されています。

初代藩主黒田長政の没後400年を記念した本展では、 明治時代から昭和時代戦後における黒田家のコレクションのうち、「家宝」 とされた貴重な資料を揃え、現在のコレクションを形作った、近代黒田侯爵家の「家宝」 のあり方を、 国宝・重要文化財を含む約 140点の資料から紹介します。

大礼服(黒田長成着用)

大礼服(黒田長成着用)(福岡市博物館所蔵)

プロローグ 黒田家の近代―長知・長成・長禮―

慶応3(1867)年10月、大政奉還によって江戸幕府の時代は終わり、日本は新たな時代を迎えることになりました。

各地の諸侯(大名)は、版籍奉還によって地域の支配権を新政府に移管し、さらに廃藩置県によって「藩」の名称もなくなります。

福岡藩主黒田家では、長知(ながとも)の時代に明治維新を迎え、その子長成(ながしげ)は明治17(1884)年に侯爵を授けられました。

昭和14(1939)年に侯爵を継いだ黒田長禮(ながみち)は、戦中・戦後の混乱を経て黒田家のコレクションを整理し、今日に残しました。

重要文化財 銀箔押一の谷形兜 ・ 黒糸威五枚胴具足 小具足付

重要文化財 銀箔押一の谷形兜 ・ 黒糸威五枚胴具足 小具足付(福岡市博物館所蔵)

第1章 黒田家の「重宝」

明治時代前半期までの黒田家の重要な宝物は、3代藩主黒田光之の時代にまとめられた「黒田家重宝故実」に記載された「重宝(じゅうほう)」でした。

「重宝」は、黒田家が筑前一帯を領有する要因となった、如水、長政親子の活躍を子孫に伝える品々です。

如水、長政親子の時代の古文書や武具などを中心とし、徳川将軍家からの拝領品や織田信長、豊臣秀吉と縁があるもの、如水・長政の愛用品などがありました。

重要文化財 黒田長政像

重要文化財 黒田長政像(部分・福岡市博物館所蔵)

第2章 「家宝」の誕生

明治時代後半、黒田長成が当主となった黒田侯爵家では、従来の「重宝」にかわり、新たに「家宝」を定める動きが起こりました。

「第一家宝」「第二家宝」の2種類に編成された家宝帳には、「重宝」に加え、長政以降の歴代藩主の肖像画や、金印「漢委奴国王」のほか、「黒田家重宝故実」に含まれなかった絵画や茶道具などが記載されています。

家の歴史にとどまらず、貴重品を網羅した「家宝」の時代の到来です。

唐物茶壺 銘「蓮華王」

唐物茶壺 銘「蓮華王」(福岡市美術館所蔵)

第3章 移動する「家宝」

黒田侯爵家では、昭和10年代に道具の整理が行われ、「家宝」の譲渡・売却が始まりました。

戦時期には大規模な売立を行っています。「家宝」の移動先には、石橋正二郎、出光佐三、松永安左エ門といった福岡に縁のある人物も含まれていました。

「家宝」の移動は戦後まで続きました。戦後の「家宝」の移動は、大規模な売立は行わず、黒田家の経営に参画していた家政相談人を介したものでした。

第4章 新たに加わる名品

「家宝」は、江戸時代に黒田家が所蔵していたものを再編成しただけでなく、明治時代以降に黒田家に加わったものも含みます。

黒田家にまつわるものとして他所から贈与されたものや、「皇室の藩屏」たる華族へ皇室から下賜されたものなどがありました。

また、「家宝」とは別に「貴重品」とされたものもあります。

佐光起筆 磯千鳥図屏風(左隻)

佐光起筆 磯千鳥図屏風(左隻)(福岡市美術館所蔵)

エピローグ 黒田侯爵家と福岡

黒田家は明治4(1871)年以降、福岡を去り東京に本邸を構えました。

福岡との関係は近代も続き、中学修猷館〔現福岡県立修猷館高等学校〕の復興、学生への奨学事業、在京福岡県出身者との親睦などに関わっています。

大正11(1922)年には、「黒田長政公三百年祭」が行われ、併行して福岡市主催の博覧会が開催されるなど、黒田侯爵家と福岡との関係は続いていくことになります。

重要文化財 寿老図"

重要文化財 寿老図(福岡市美術館所蔵)

=関連イベント=

記念講演会「明治の殿様―近代化を支え、人材を育て、文化を伝える―」
【日時】 9月16日(土) 13:30~15:00(開場13:00)
【会場】 福岡市博物館 1階講堂
【講師】 有馬学(福岡市博物館総館長)
【定員】 先着240名 *当日受付
【料金】 無料  *ただし本展観覧券または半券の提示が必要
*開演の30分前から先着順にてご入場いただきます。

関連講座「黒田侯爵家の家宝」
【日時】 10月15日(日) 13:30~15:00(開場13:00)
【会場】 福岡市博物館 1階講堂
【講師】 野島義敬(福岡市博物館学芸員)
【定員】 先着240名 *当日受付
【料金】 無料  *ただし本展観覧券または半券の提示が必要
*開演の30分前から先着順にてご入場いただきます。

担当学芸員による「黒田侯爵家の名品」ギャラリートーク
【日時】 毎週水曜日 14:00~15:00
【集合】 福岡市博物館 2階特別展示室入口
【参加料】 無料 *事前申込不要(ただし本展入場者が対象)

【開館時間】 9:30~17:30(入館は17:00まで)
【休館日】  月曜日 *ただし、9月18日(月・祝)、10月9日(月・祝)は開館し、9月19日(火)、10月10日(火)は休館
【観覧料】  一般1,600円(1,400円)、高大生1,200円(1,000円)、小中生500円(300円)
*( )内は前売、20人以上の団体料金
*常設展示室・企画展示室観覧券付

問合せ先:西日本新聞イベントサービス TEL 092-711-5491(平日9:30~17:30)

ご参考・・福岡市博物館Webサイトへ 

 
地図

Googleマップ

 

*料金、時間、休館日等は、変更の場合があります。必ず確認の上、お出かけください。
*複写・転写を禁じます。

一番上に戻る