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九州国立博物館 特別展ルネ・ユイグのまなざし フランス絵画の精華 大様式の形成と変容

*新型コロナウィルス感染拡大防止のため、2月27日(木)~当分の間、臨時休館となりました。
【開催期間】 開催中 ~ 2020年3月29日(日)
【会場】   九州国立博物館(福岡県太宰府市石坂4-7-2)

【休館日】  月曜日 *ただし2月24日(月・休)は開館、2月25日(火)は休館
【開館時間】 9:30~17:00(入館は16:30まで) *毎週金・土曜日は20:00まで(入館は19:30まで)
【観覧料】  一般1,600円(1,400円)、高大生900円(700円)、小中生500円(300円)
       *( )内は夜間割引および団体料金(有料の方が20名以上の場合)。
       *上記料金で九州国立博物館4階「文化交流展(平常展)」もご観覧いただけます。
       *満65歳以上の方は前売り一般料金でご購入いただけます。
       *夜間割引料金のチケットは、夜間開館当日17:00以降に館内券売所で販売。
        夜間割引料金で購入されたチケットで17:00以前に入場することはできません。

問合せ先:NTTハローダイヤル TEL 050-5542-8600(8:00~22:00、年中無休)
詳細は・・九州国立博物館Webサイトへ、ご参考・・東京富士美術館Webサイト
 

ポリニャック公爵夫人、ガブリエル・ヨランド・クロード・マルチーヌ・ド・ポラストロン

エリザベト=ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン《ポリニャック公爵夫人、ガブリエル・ヨランド・クロード・マルチーヌ・ド・ポラストロン》 1782年 ヴェルサイユ宮殿美術館

偉大で華やかなる300年。

本展では、17世紀の古典主義から19世紀の印象派誕生前までの、フランス絵画がたどった魅力あふれる3世紀を一望できます。

出品作品は、フランスのルーヴル美術館、オルセー美術館、ヴェルサイユ宮殿美術館、イギリスのスコットランド・ナショナル・ギャラリーやドイツのベルリン国立絵画館及び東京富士美術館などから油彩画の傑作69点。

フランス古典主義美術の父、プッサン晩年の傑作《コリオラヌスに哀訴する妻と母》、ロココ美術を代表するヴァトーの《ヴェネチアの宴》など、うち17点は日本初公開です。

王妃マリー・アントワネットお気に入りの女性肖像画家、ヴィジェ・ルブランが描いた《ポリニャック公爵夫人、ガブリエル・ヨランド・クロード・マルチーヌ・ド・ポラストロン》の生き生きとした顔、華やかな衣装も必見です。(この作品は撮影OKです。)

眠るアモルの姿のトゥルーズ伯爵

ピエール・ミニャール《眠るアモルの姿のトゥルーズ伯爵》
1682年 ヴェルサイユ宮殿美術館

大様式の形成、17世紀

1648年、ルイ14世のもとで王立美術アカデミーが創設され、画家として生涯のほとんどをローマで過ごしたニコラ・プッサンの絵画や理論をもとに、フランス美術の古典主義が育まれました。

王立美術アカデミーの最も重要な絵画理論によると、描かれるべき絵画の主題には序列があり、古典文学や聖書を主題にした「歴史画」が最も上位にあり、生命のない事物を描いた「静物画」は最も下位とみなされていました。

典雅な聖母子像で人気を博したミニャールは、ルイ14世の息子であるトゥルーズ伯爵の幼い愛くるしい無垢な姿を、愛の神・アモル(キューピット)として描きました。《眠るアモルの姿のトゥルーズ伯爵》はミニャールの「子どもの画家」という名声を決定的にしました。
 

シャルル・ル・ブランの2作品

左:シャルル・ル・ブラン《キリストのエルサレム入場》1688-1689年 サン=テチエンヌ近現代美術館、ルーヴル美術館より寄託
右:シャルル・ル・ブラン《スブリキウス橋を守るホラチウス・コクレス》1643-1645年頃 ダリッジ絵画館

画家の深化を見比べよう

王立美術アカデミーの牽引者として、ルイ14世の支持を得ながら精力的な活動をした画家、ル・ブランが20歳代のときに描いた作品《スブリキウス橋を守るホラチウス・コクレス》と、晩年の作品《キリストのエルサレム入場》は並べて展示してあります。

《スブリキウス橋を守るホラチウス・コクレス》には、ローマの兵士ホラチウス・コクレスが橋から侵入しようとする敵兵を阻止し国を守った様子が描かれています。
ローマを示す「狼」や空に舞う女性像が被っている狼の兜、手に持つ槍には「ROME」の文字を刻み、ローマの戦いであることを明示している点もお見逃しなく。

《キリストのエルサレム入場》には、ロバに乗ったキリストを出迎える人々が描かれています。明確なデッサンによる造形、建物の考古学的な正確さなど、プッサンの教えを忠実に守っていることが分かります。初期の作品と見比べることで、彼が、人々の情念を表現した歴史画を深化させた様をご覧いただけるものと思います。

ル・ブランは、1684年、絢爛豪華なヴェルサイユ宮殿 鏡の間(長73メートル、幅10.5メートル、高12.5メートルの回廊)の天井画30面を完成させたことでも知られています。
 

ヴェネチアの宴

ジャン=アントワーヌ・ヴァトー《ヴェネチアの宴》
1718-1719年頃 スコットランド・ナショナル・ギャラリー
National Galleries of Scotland. Bequest of Lady Murray of Henderland 1861

ロココ美術の全盛、18世紀

ルイ14世はヴェルサイユ宮殿に宮廷を移転させ、絢爛豪華な世界を現出させました。しかし晩年には、親密で感覚をくすぐる美術を好むようになりました。
 
ヴァトーは、宮廷貴族の宴を手本にしたパリの豊かな市民が楽しんだ屋外での集いを描いた「雅宴画」を生み出しました。

《ヴェネチアの宴》はヴァトーの指折りの傑作。庭園、会話、音楽という雅宴画を構成する要素が、豊かな色彩とともに描かれています。
右端の楽器を演奏する男はヴァトー本人の自画像で、左端のオリエント風の男はヴァトーの親しい友人の画家であることが知られています。(この作品は撮影OKです。)
 

自画像

マリー=ガブリエル・カペ《自画像》
1783年頃 東京、国立西洋美術館

女性画家が活躍を始めた時代

18世紀末は、女性画家が公的な場で活躍を始めた時代であり、王妃マリー・アントワネットお気に入りの女性肖像画家、ヴィジェ・ルブランが《ポリニャック公爵夫人、ガブリエル・ヨランド・クロード・マルチーヌ・ド・ポラストロン》を描いたのもこの時代です。

カペの《自画像》は、デッサンのためのチョーク挟みを手にして画架の前に座っている様子を描いており、22歳の若さと活力、自信がみなぎっているようです。
白い肌と体の量感、軽やかに巻いた髪、青いサテンドレスの柔らかな風合い、袖口のレースや肩にかかるショールの透明感が、光の印影によって際立って描かれています。
 

スフィンクス橋の眺め

ユベール・ロベール《スフィンクス橋の眺め》1767年 東京富士美術館

新しい様式の創出

この時代には、サロンと呼ばれる展覧会が定期的に開かれ、裕福な市民は、自ら絵画を買い求めるようになり、肖像画、風俗画や風景画の流行につながりました。

ユベール・ロベールは、ローマやイタリア各地の廃墟を現代の風景の中に置いた想像画を描きました。
岸に置かれた4体のスフィンクス像。アーチ型の橋の下で展開される空想の風景に、洗濯をする女たちや火をおこして大きな鍋で炊事をする日常の暮らしが描かれています。遠くの丘の上には大きな古城があり、小さな滝が流れる川には2つのアーチがある橋が架かっています。
ほの暗い前景と、アーチの向こうに広がる明るい風景が、空間的にも時間的にも遠近感を作りだす仕掛けになっています。

ロベールの個性的な表現は、自然の景観への関心と、建築への強い好奇心によって生み出されたと考えられています。
 

突撃するナポレオン軍の将軍

テオドール・ジェリコー《突撃するナポレオン軍の将軍》1812年頃 東京富士美術館

ナポレオンの遺産、19世紀

19世紀になると、17世紀の古典主義美術と18世紀半ばのポンペイ遺跡などの発掘をきっかけとする古代美術への関心から、新古典主義美術が生まれました。特にダヴィットとアングルは、大様式を継承し、さらに発展させました。

フランス革命とナポレオンの登場は、美術にも大きな影響を与えました。フランス革命は古典主義の批判と擁護をもたらし、ナポレオンが行ったエジプトなど中近東への遠征は、オリエント美術への関心を高めました。これらがきっかけとなり、芸術家たちは表現上の自由を手に入れたのです。

なかでも、ジェリコーとドラクロアは、古典古代の世界ではなく現代を描き、狂気や無意識の世界を開拓することで、ロマン主義美術を発展させました。

19世紀の美術アカデミーは、デッサンを重視し、仕上げのなめらかさにこだわり、古代作品や自然の模倣を大事にする一群の画家を生みました。ブグローは一般大衆から大いに評価された代表的な画家でした。
 

バッカント

ウィリアム・ブグロー《バッカント》 1862年 ボルドー美術館

神話を題材にした裸婦像

当時、アカデミー系の画家が好んだ、神話を題材にした裸婦像のひとつで、山羊と戯れるバッカントを描いています。

ギリシア神話ではディオニュソスとして知られる酒の神はローマではバッコス神として迎えられ、酒神の女信徒はローマでバッカントと呼ばれました。

葡萄の葉の冠をつけ、右手には豊穣の象徴である松かさがついたテュルソスと呼ばれる杖を持ったバッカント。山羊はバッコスの凱旋車を引き、古くから豊穣の象徴とされており、躍動感あふれる構図がバッカントの生命感を見事に描き出しています。
 

ローマのサトゥルヌス神殿の廃墟にいる洗濯女

ユベール・ロベール《ローマのサトゥルヌス神殿の廃墟にいる洗濯女》 パリ、ルーブル美術館素描・版画部門

パリのシャン・ド・マルスでのルイ18世の観兵式

テオドール・ジェリコー《パリのシャン・ド・マルスでのルイ18世の観兵式》 パリ、ルーブル美術館素描・版画部門

デッサンによる豊かな表現力・観察力

本展では、ルーヴル美術館素描・版画部門と、大英博物館が所蔵するデッサン作品17点(うち16点は日本初公開)が展示されます。

王立美術アカデミーでの論争で、デッサンと色彩のどちらが大事かという論争が繰り返されてきました。デッサンには、油絵という最終絵画作品を準備するための習作、あるいは画家の構想や着想を記録するという役割にとどまらず、それ自体を鑑賞しても楽しめる魅力に満ちています。

なかでもヴァトーをはじめとする18世紀の画家たちが好んで用いた、黒・赤・白の3色チョークの作品が示す豊かな表現力と画家の個性を示す観察力の違いをじっくりとご覧ください。
 

グッズ売り場

定番の絵葉書も数多く揃い、関連グッズも華やか

知っている画家や作品は?

今展覧会では、日本の江戸時代にあたる17~19世紀の300年にわたるフランス絵画の精華を、46人の画家の作品によってご覧いただきます。
日本で名前の知られている美術館だけでなく、フランスの地方美術館からも作品をお借りして開催される貴重な展覧会です。
皆さんは、何人の画家をご存じでしょうか?
ぜひ会場で、フランス絵画の豊穣な世界をお楽しみください。
 

*料金、時間、休館日等は、変更の場合があります。必ず確認の上、お出かけください。
*複写・転写を禁じます。

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